葬儀後に必要な手続きは? 主なポイントや注意点を詳しく解説します!
「親の葬儀が終わったけど、葬儀後にはどんな手続きが必要になるのだろう」とお考えではないでしょうか? 大切な人が亡くなって葬儀を終えても、まだ必要な手続きが何かとあるものです。しかし、実際にどんな手続きをいつまでに行うべきなかど、よく分からないこともあるでしょう。
そこで今回は、葬儀後の手続きについて詳しく解説します。
この記事を読むことで、葬儀後に必要な手続きの種類やポイントがよく分かります。まずは、記事を読んでみてください。
1.葬儀後すぐに必要な手続きは?
最初に、葬儀後すぐに必要な手続きについて見ていきましょう。
1-1.香典の確認および葬儀費用の支払い
葬儀後すぐ、香典の確認作業を行いましょう。まずは、誰からいくらもらったか、香典帳にきちんと記録しておくのです。花輪や供物をいただいた場合も、忘れずに記録しておいてください。後日、香典返しを手配するときなどに必要です。また、葬儀後すぐに葬儀費用を支払うことになります。葬儀会社からの請求内容を確認し、特に問題なければ指定された方法で支払ってください。
1-2.四十九日法要などの手配
葬儀が終わったら、すぐに四十九日法要などの手配が必要になります。その前にも初七日法要などがありますが、最近では葬儀と同じ日に続けて行うこともあるので、寺院に確認してみてください。一方、四十九日法要は一つの節目となるため、単独で行われることが多いでしょう。同時に、法要で使用する位はいの手配も寺院と相談して用意してください。なお、四十九日法要は、近い親族を中心に参列してもらうことになります。早めに日程を決め、参列してもらう人に通知すると共に、会場を押さえたり必要なものや法要後の食事会などを手配したりしてください。
1-3.金融機関への連絡
葬儀後すぐに、故人が口座を持っている金融機関に連絡する必要があります。預金額が多い場合などは、銀行側の判断ですでに口座を凍結されていることもあるでしょう。金融機関へ連絡する目的は、遺産相続が関係するからです。口座の持ち主が亡くなった時点で、預金はすべて遺産相続の対象になります。そのため、一部の親族に勝手な判断で引き落とされることがないよう、一時的に凍結するのです。なお、預金口座が凍結された後は、相続人であっても、一連の相続手続きが終わるまでは一定額以上の金額を引き出すことができなくなります。
1-4.自治体への届け出
自治体への届け出の中には、年金や健康保険に関するものなど、葬儀後早めに行うべきものがあります。具体的には、以下を参考にしてください。
年金の給付停止申請
- 国民年金は亡くなってから14日以内、厚生年金および共済年金は10日以内
- 年金証書・死亡診断書・戸籍謄本・住民票の写しなどが必要
国民健康保険および介護保険の停止申請
- 亡くなってから14日以内
- 保険の資格喪失届・被保険者証・死亡診断書などが必要
- 国民健康保険証や介護保険被保険者証は返却する必要がある
世帯主の変更届
- 亡くなってから14日以内
- 手続きする人の本人確認書類と印鑑が必要
より詳しい内容は、自治体のホームページを確認したり担当窓口に問い合わせしたりしてください。
1-5.近所や故人がお世話になった先などへのお礼回り
葬儀が終わったら、お礼回りを行いましょう。近所や故人がお世話になった先などへ、葬儀が無時完了したことを報告したり、生前に故人がお世話になったことに対してお礼をしたりするのです。近所には直接出向いてあいさつするのがおすすめですが、遠方であれば電話やお礼状で済ませてもよいでしょう。
1-6.遺言書の確認
葬儀が終わったら、遺言書の有無を確認しておきましょう。特に、相続が絡む場合は、遺言書の内容によって、今後どうすべきか判断する必要があるからです。遺言状には、以下の3種類があります。
- 自筆証書遺言:故人が自筆で書き残したもの
- 公正証書遺言:公証役場に申請し、公正証書として作成されたもの
- 秘密証書遺言:公正証書遺言と同様に公正証書となるが、公証人にも内容を知らせずに作成したもの
なお、自宅などで自筆証書遺言が見つかった場合は、遺族であっても勝手に開封してはいけません。まずは、家庭裁判所に出向いて遺言状の検認手続きを行ってください。家庭裁判所で検認してもらうことで、法的に有効な遺言状として認められることになります。
2.葬儀後1か月~1年以内に必要な手続きは?
葬儀後1か月~1年以内に必要な手続きにはどんなものがあるか、具体的に見ていきましょう。
2-1.故人名義のクレジットカードの解約
故人名義のクレジットカードがある場合は、解約手続きを行ってください。特に、有料会員になっている場合は、タイミングによって年会費が請求されることがあります。クレジットカードの発行会社に連絡し、必要な手続きを早めに進めておきましょう。無料会員であっても、所持し続けると思わぬところで個人情報を悪用される可能性があるので、早めに解約しておくことが大切です。
2-2.相続の放棄や限定承認
故人に借金がある、特定の相続人に相続させたいなどの理由で相続を放棄したい場合は、亡くなってから3か月以内に家庭裁判所で手続きしてください。また、限定承認の手続きをすると、相続によって得た財産の範囲内で借金を返済することができます。いずれの場合も、3か月を過ぎてしまうと一切認められなくなるので注意してください。
2-3.相続税の申告・納税
故人から相続すべき財産がある場合は、相続税の申告と納税の手続きを進めましょう。相続税を確定させるためには、相続人全員で遺産分割協議を行う必要があります。このとき、相続人が1人でも不参加もしくは不同意だと協議した内容が無効になるので注意してください。相続が確定したら、速やかに以下のものの名義を変更しましょう。
- 不動産(土地・家屋など)
- 預貯金
- 株式
- 自動車所有権
なお、相続手続きは非常に複雑で難易度が高いため、信頼できる税理士や弁護士に相談して手続きを進めるとよいでしょう。
2-4.所得税準確定申告
亡くなってから4か月以内に、管轄の税務署にて所得税準確定申告を行う必要があります。所得税準確定申告とは、その年の1月1日~亡くなった日までの所得を申告することです。たとえば、自営業の人などで事業所得がある人などが当てはまります。一方、会社員などの給与所得者で給与をもらっていたのが1か所だけなら、所得税準確定申告は不要です。そのほかにも、申告が必要なパターンと不要なパターンがあるので、詳しくは、国税庁の所得税準確定申告に関するホームページをご覧ください。
2-5.香典返しの手配
香典返しの手配も、葬儀後1か月程度で必ず行っておきましょう。香典返しは、四十九日法要が終わったタイミングで行います。香典返しは、香典としてもらった金額の半額程度が相場です。花輪や供物などをいただいた分についても、きちんと計算に入れてください。なお、このとき、葬儀や法要などですでに香典返しを渡している人は基本的に除外します。ただし、香典が高額だった人については、改めて相応の品物を返しても構いません。香典返しの人数が多いと大変なので、早めに手配しておくとよいでしょう。
2-6.納骨
遺骨は、一定期間自宅などに安置した後、墓地に納骨することが一般的です。多くの場合、四十九日法要と同時か、終了後に納骨することになるでしょう。納骨についても、寺院とよく相談して日時を決めてください。また、スムーズに納骨できるよう、事前に専門業者に墓地の整備を依頼することも必要です。なお、埋葬できる墓地がない場合は、この記事の「3-4.仏壇・墓の購入」を参考にして購入することを検討してください。
2-7.遺品整理
遺品整理も、葬儀後1か月~1年以内に必要です。実際には、相続が絡むことがあるため、四十九日法要を終えたタイミングで行うケースが多く見られます。遺品整理は自分たちだけで行うこともできますが、専門業者に依頼することも可能です。専門業者に依頼すると、自分たちだけで作業するより効率がよい、都合のよい日時と場所で作業してもらえる、不用品の処分も依頼できるなどメリットが多くあります。葬儀後は疲労がたまっていることからも、遺品整理は専門業者に依頼することがおすすめです。なお、当ゼロプラスでも遺品整理を数多くお受けし、ご好評をいただいています。まずは、お気軽にお問い合わせください。
2-8.1年以内に手続きしたほうがよいそのほかの手続き
そのほかにも、葬儀後1年以内に手続きしたほうがよいものがあります。
- 各健康保険の埋葬料の請求
- NHKの解約(故人が1人暮らしかつ世帯主だった場合など)
- スマホ・携帯電話の解約
特に、NHKやスマホ・携帯電話の利用料は、解約するまで支払いが発生し続けることになるので、早めに手続きしておきましょう。
3.状況によって葬儀後に必要となる手続きは?
状況によっては、葬儀後にも必要となる手続きがあります。どんな手続きが必要になることがあるか、詳しく見ていきましょう。
3-1.賃貸物件の解約
故人の賃貸契約はそのまま相続されるため、不要なら解約してください。解約手続きを忘れた場合は、賃貸料が発生し続けることになります。なお、賃貸契約を解約した場合は、解約日までに原状回復してから明け渡すことが必要です。したがって、多くの場合で四十九日法要の前に遺品整理を行うことになります。多忙などの理由で遺品整理している時間がないときは、いったん遺品をトランクルームなどに預け入れ、落ち着いてから整理するのもよいでしょう。
3-2.公共料金の引き落とし口座の変更
故人と遺族が同居しており故人の口座から公共料金が引き落とされていた場合は、引き落とし口座の変更をする必要があります。すでに、故人の預金口座が凍結されている場合は、公共料金の引き落としができなくなり、請求書が届くことでしょう。うっかり未払いのまま放置すると、支払いの意思がないと判断される可能性があります。水道やガス・電気などが、突然供給されなくなることがあるので注意してください。
3-3.保険金の請求
故人が生命保険や医療保険などに加入していた場合は、保険金の請求手続きを進めましょう。保険金の請求手続きには、以下のような書類が必要になります。
- 生命保険:保険金請求書・死亡診断書・保険金を受け取る人の戸籍抄本や印鑑証明書など
- 医療保険:保険金請求書・診断書など
実際に必要な書類については、保険の種類や保険会社によって異なるので確認してください。上記以外の保険に加入している場合も、保険会社に問い合わせて請求できる保険金がないか調べ、必要に応じて手続きを進めましょう。なお、保険金の請求には3年の時効があります。したがって、亡くなってから3年を過ぎると保険金を請求できなくなるので、早めに手続きしておきましょう。
3-4.定期購入サービスや課金サービスの解約
故人が定期購入サービスや課金サービスに加入していた場合は、なるべく早く解約しましょう。最近は、高齢者でもスマホやパソコンを使用する人が多く、雑誌の定期購読やゲームアプリなどの課金サービスに加入しているケースが増えています。しかも、遺族が知らされていないものがほとんどでしょう。課金サービスの加入の有無については、クレジットカードの請求明細などをチェックする、本人のメアドに届く請求内容をチェックするなどの方法があります。課金サービスを契約していたままだと毎月一定の料金を払い続けることになるので、きちんと解約しておきましょう。
3-5.仏壇・墓の購入
仏壇や墓がない場合は、購入を考える必要があります。四十九日法要までは、自宅などで簡単な祭壇の上に遺骨を置いておくケースが多いでしょう。四十九日法要が終わっても、必ず納骨すべきという決まりはありません。しかし、多くの場合、納骨することが一般的なため、墓がない場合は購入を考えることになるでしょう。墓地の価格は数十~数百万円程度が相場ですが、区画の広さや墓石の種類・墓地の立地などによって異なります。また、位はいを納めるための仏壇がない場合も、購入することになるでしょう。最近は、シンプルかつコンパクトで、洋室にもマッチするデザインの仏壇も出ているので、いろいろと調べてみてください。
3-6.そのほか必要になる可能性がある手続き
そのほかにも、場合によっては葬儀後に以下のような手続きが必要になります。
- パスポートや運転免許証の返納
- 未支給年金の請求
- 遺族年金や寡婦年金の請求
- 高額医療費還付金の申請
いずれも、故人が亡くなったときの状況によるので、手続きのし忘れがないようにチェックしておきましょう。
4.葬儀後の手続きに関するよくある質問
最後に、葬儀後の手続きに関する質問に回答します。それぞれ役立ててください。
Q.葬儀後の手続きは代表者がまとめてやったほうがよい?
A.確かに、代表者がまとめて手続きしたほうが効率よいのは事実です。ただし、特定の人に大きな負担がかかるため、可能なものは分担することをおすすめします。
Q.相続を放棄する場合はどんな注意点がある?
A.相続を放棄する場合は、遺品を持ち出したり整理したりしないようにしてください。遺品整理に手を出した時点で、相続する意思があると判断され、相続放棄を認めてもらえないことがあります。なお、故人の写真や思い出の品などで金銭価値がないものは、後日受け取っても構いません。
Q.故人の生命保険金も課税対象になる?
A.はい、課税対象になります。ただし、受け取った金額や故人との関係性によって課される税金の種類や控除額が異なるので注意しましょう。より詳しい内容は、国税庁のホームページを参考にしてください。
Q.故人の運転免許証を形見に持っていてもよい?
A.構いません。故人の免許証は、管轄の警察署か運転免許センターで返納手続きを行った後、希望すればパンチで穴を開けた状態で返却してもらえます。
Q.遺品整理で出た不用品を買取に出してもよい?
A.場合によっては、相続手続きに影響が出ることがあるので注意してください。特に、貴金属品などの金銭価値が高いものは、資産と判断されて相続の対象になることがあります。したがって、特別な事情がない場合は、相続手続きが終わってから買取に出すとよいでしょう。
まとめ
今回は、葬儀後の手続きについて詳しく解説しました。葬儀が終わっても、さまざまな手続きが必要になります。まずは、いつまでにどんな手続きが必要かリストアップし、緊急度や重要度の高いものから順次手を付けていきましょう。なお、葬儀後は、遺品整理も行うことになります。遺品整理は想像以上に大変な作業であり、心身共に大きな負担になることからも、専門業者に依頼することがおすすめです。この記事を参考にして、信頼できる業者によく相談してみるとよいでしょう。