遺品をもらう際に注意すべきことは?トラブルを防ぐ方法と共に解説
「遺品をもらってほしいと言われたが、素直に受け取っていいか迷っている」という人はいませんか? 遺品は家族だけでなく友人に「形見分け」として分けることも珍しくないでしょう。しかし、遺品を巡ってトラブルになることもあります。「せっかく故人を偲(しの)ぶものをもらったのに、最後に嫌な思い出が残ってしまった」となったら残念です。
そこで今回は、遺品をもらう際の注意点やスマートなもらい方を紹介します。
この記事を読めば、トラブルを防ぐためにやっておいた方がよいことも分かるでしょう。形見分けをしたいと打診され、受け取ってよいか悩んでいる人はぜひこの記事を読んで参考にしてください。
1.遺品として分けられることが多いもの
はじめに、遺品として遺族や友人に分けられることが多いものの一例をご紹介します。
1-1.趣味の品
趣味の品は、同じ趣味の友人に形見分けされることが多いようです。また、故人が趣味で身につけていたものなど、金銭的な価値は低くても故人を偲(しの)べるものを形見分けされることもあるでしょう。
1-2.服やアクセサリー
流行の移り変わりが少ない着物や背広などは、形見分けの品として分けられることが多いでしょう。また、ネックレスや指輪、帯留め、ネクタイピン、カフスボタンなども形見分けされることが多い品です。
1-3.故人の愛用品
故人が愛用していたものは、特に親しい人に送られることが多いでしょう。杖(つえ)、めがね、お気に入りの服などが該当します。
2.遺品をもらう場合に注意するべきポイント
遺品は思わぬトラブルの引き金になることがあります。この項では遺品をもらう際に注意すべきポイントを紹介しましょう。
2-1.遺族が遺品の価値を知っているか把握しておく
遺品の中には金銭的な価値が高いものもあります。宝石や着物など価値が分かりやすいもの以外にも、古書やホビー類、趣味の品などは価値が分からないまま形見分けとして譲り受け、後で高額であることが分かってトラブルになることもあるでしょう。ですから、趣味の品などを譲り受ける際は、遺族が価値を把握しているのかどうかさりげなく尋ねてみてください。
2-2.相続税について
遺品は一般的に金銭価値が低いものが大半です。しかし、何らかの理由で値段が上がり売却したら高値がつくこともあります。特に、ホビー類や古書、趣味の品などは買ったときより高値になりやすいものです。ですから、そのようなものをもらったということは、形見分けではなく「遺産相続した」とみなされる可能性があります。この場合、贈与税が課せられるかもしれません。ですから、価値がよく分からない遺品は金銭的な価値を確かめ、遺産として扱う方がおすすめなケースもあります。
2-3.所有に許可が必要なものもある
刀剣などは所有者が移る場合は、警察にあらためて届け出が必要です。また、猟銃やライフルなどに代表される銃は、無許可では所持することもできません。刀剣を譲り受けた場合は必ず最寄りの警察署に届け出を出しましょう。猟銃やスポーツ用のライフルは販売店などに返却し、むやみに譲り渡さないようにしてください。譲り渡す場合は所持する許可を持っている人に渡しましょう。
3.遺品は金銭トラブルを招く場合がある
前述したように、遺品に金銭価値があることを知るとトラブルを招くことがあります。また、故人が愛用していた品などは「自分が受け継ぐはずだったのに」と言われる可能性もあるでしょう。特に、遺品が多く「誰に何を渡すか」を明確にしていなかった場合、このようなトラブルが起こりやすくなります。
4.遺品に関するトラブルを避ける方法
では、遺品に関するトラブルを避けるにはどうしたらいいのでしょうか? この項では、その一例を紹介します。
4-1.遺品の価値を調べておく
遺品の価値をあらかじめ調べておきましょう。前述したように金銭的な価値が高いものは、遺産として取り扱った方がおすすめです。また、自動車など高価な遺品は子供や孫など直系の親族が引き継いだ方がトラブルになりにくいでしょう。
4-2.コレクターズアイテムは親族全員が同意した上で譲り先を決める
故人がコレクターだった場合、蒐集(しゅうしゅう)したものを巡ってトラブルが起こることもあります。友人を自称してコレクションを持っていく人もいるかもしれません。後日のトラブルを避けるためには、親族全員の同意を得た上で譲り先を決めておくのもいいでしょう。
4-3.所持するのに許可がいるものは形見分けしない
猟銃や刀剣など所持に届け出がいるものは親族が受け継ぎ、友人などには形見分けしないようにしましょう。思わぬトラブルが起こるかもしれません。所有権を移す場合は弁護士などに相談して手続きを行いましょう。
5.遺品の分配に関するよくある質問
この項では、遺品の分配に関するよくある質問を紹介します。
Q.遺品と遺産は何が違うのでしょうか?
A.遺産は現金、不動産、有価証券など金銭的な価値がはっきりしているものです。一方、遺品は故人が残した家具や家電、洋服、愛用品など金銭的価値がほとんどないと判断できるものが該当します。
Q.遺品は家族以外の人に分配した場合、何らかの税金はかからないのですか?
A.金銭的に価値がないものならば大丈夫ですが、100万円を超える価値があると分かった場合は贈与税がかかる可能性が出てきます。この場合は税理士に相談してください。
Q.遺産の相続を放棄した場合、遺品も受け取れませんか?
A.遺産を放棄しても遺品をもらうことはできます。ただし、金銭的な価値がある遺品をもらうと「財産を相続した」とみなされることがあるので注意が必要です。
Q.遺品はいつまでに分配すればいいのでしょうか?
A.特に決まりはありません。四十九日、一周忌など区切りの法要が終わったときに遺品を分けるケースもあります。
Q.故人から遺品をもらう約束をしていましたが、遺族が許してくれない場合はどうすればいいですか?
A.口約束だった場合は、遺族が反対すればもらうのは難しいでしょう。そうならないようにエンディングノートなどに遺品の譲り先を記載してもらうようにするのがおすすめです。
まとめ
今回は、遺品をもらう際の注意点やトラブルを防ぐ方法を紹介しました。遺品の分配は主に金銭的なことでトラブルになることがあります。特に、故人が集めていたコレクターズアイテムを同好の士に分配するときなどは、注意が必要です。金銭的な価値が高そうな遺品はあらかじめ値段を調べ、親族全員が同意し、譲り受ける人にも贈与税がかかることもあることを説明したうえで分配しましょう。