遺品としての衣類はどうやって処分したらいいの?
今、故人が残した遺品の整理に悩んでいる方が多いです。遺品とは、現金や有価証券・土地など明確な資産以外のもの。故人が普段使用していた品や愛用品、コレクションなどです。
その中でも、衣類は量が多く処分に困っているという方も多いでしょう。そこで、今回は遺品になった衣類の処分方法についてご紹介します。
故人のものは、中々処分できない方も多いでしょう。しかし、衣類は時間がたつほど処分が大変になっていきます。遺品の衣類をどう処分してよいか悩んでいる方は、ぜひこの記事を読んでみてくださいね。
1.遺品整理はどうして難しくなったのか?
30年ほど前までは、2世代、3世代同居の家族も珍しくありませんでした。また、個人の持ち物も少なく、愛用品を家族や友人が分けてしまえばそれでおわったのです。しかし、現在は高齢者世帯と子世帯が別居していることが珍しくありません。つまり、家電から生活用品まで同居している家よりも、2倍以上必要なわけです。
また、現在の70代以上の方は、「ものを大切にする」という教育を受けています。ですから、たとえ不要になったものでも、捨てずに取ってあることも少なくありません。特に、衣類は何十年前のものでも取っておく人も多いのです。
さらに、着物を大量に遺して亡くなる方もいるでしょう。昔は、古い着物を仕立て直すことも多かったですが、今はそのようなことができる人も少なくなっています。ですから、形見分けしきれない遺品の整理に悩む方も増えているのですね。
2.残されやすい衣類とは?
では、遺品にはどのような衣類が多いのでしょうか? この項では、遺品になりやすい衣類の一例をご紹介します。
2-1.スーツ
男性も女性も、古いスーツを捨てられないという方は多いです。特に、昔は今ほどスーツが安くなかったため、古いスーツでも大切に取ってあることが少なくないでしょう。男性のスーツには流行(りゅうこう)がないと思われがちですが、そんなことはありません。30年前と現在のスーツを比べてみれば、細部がだいぶ変わっていることに気づくでしょう。また、女性の場合はブランド物のスーツをたくさん取ってあるという方もいます。
2-2.着物
昔は嫁入り道具として、着物を一式作ってもらうのが当たり前でした。また、高齢者の中には着物が普段着という方もいるでしょう。高価な正絹の着物が何枚も残された、というケースも少なくありません。
しかし、現代では着物を着る機会はほとんどないでしょう。特に、正絹の着物は手入れも大変なため、タンスの肥やしになってしまうことも多いのです。また、着物を洋服にリメイクすることも可能ですが、特徴のある服になりやすいので普段使いは難しいこともあります。
2-3.パジャマ
亡くなる前に入院をしていたり介護を受けていたりすると、たくさんのパジャマが必要になります。また、予備に何枚も買ったものがそのまま残されることもあるでしょう。介護用のパジャマは着脱しやすいようになっているので、普通の人には使いにくいこともあります。
3.形見として残された衣類はどうしたらいい?
では、形見として残された衣類はどうすればよいのでしょうか? この項では、処分の方法をご紹介します。
3-1.お気に入りの洋服は故人に着せてあげる
故人が気に入っていた洋服や、高価なスーツ、着物などは故人に着せて送ってあげるのもよいでしょう。着せられない場合は上からかけてあげることもできます。現在は、燃えないものはお棺(かん)に入れられませんが、洋服なら問題ありません。ただし、貝殻のボタンや金属の飾りなどは取る必要があります。
3-2.形見分けをする
まだタグがついている普段着やパジャマなどは、故人の友人がもらってくれることもあります。同年代の人ならばデザインも大丈夫でしょう。また、兄弟や子どもたちで故人をしのぶものとして、形見分けをすることも多いです。
3-3.形を変えて保存する
引き取り手もないけれどそのまま捨てるには忍びないというものは、形を変えて保存するという方法があります。最も簡単なのは、写真に撮ることです。また、裁縫ができる人ならば、故人の服を使ってぬいぐるみや人形の服を作ってもよいでしょう。パッチワークなどの一部にしても、故人のよい思い出になります。
3-4.処分する
化学繊維以外の繊維は、天然素材です。ですから、どんなに丁寧に取ってあっても劣化してくるでしょう。絹やウール製品ならば虫がつくこともあります。また、一度でも袖を通したものは、黄ばんだりシミがついたりするでしょう。
さらに、服には流行(りゅうこう)があります。「いつか、誰かが着るかも」と思っても、結局タンスの肥やしで終わってしまうことも多いです。ですから、引き取り手もなく再利用もできない衣服は処分しましょう。
古布はリサイクルできますから、資源ゴミに分類されている自治体が多いです。ただし、汚れている衣類はリサイクルできませんので、下着類などは細かく切って燃えるゴミに出しましょう。特に、女性用の下着は不用意に捨てると犯罪に使われることもあります。
4.衣類を売却することは可能なの?
着物や毛皮、さらにブランド物の衣類は捨てるのがもったいないという方も多いでしょう。洋服には流行が(りゅうこう)ありますが、着物や毛皮などは比較的長く使えます。また、ハイブランドの洋服は、新しいほど高値がつきやすくなるのです。
現在、古着を売却する方法は、「リサイクルショップ」や「フリーマーケット」、さらに「インターネットオークション」があります。着物や毛皮に関しては、高価なものほど専門店を利用しましょう。着物専門の古着屋はまだまだ多いです。また、ブランド品や毛皮を専門に扱う専門店もあります。
遠方でも宅配で引き取ってくれるサービスがありますから、利用してみるのもよいでしょう。また、ノンブランドの普段着でもキロ数百円で引き取ってくれる業者があります。古布は古紙と同じようにリサイクルできますので、引き取る業者がいるのですね。
ただし、古着の価値は決して高くありません。何百万円もした着物も毛皮も、数千円~数万円の値段しかつかないことも多いでしょう。古着の需要が少ないので、高値がつきにくいのです。それでも、捨てるよりはましでしょう。「もっと高いはずだ」と思ってしまいこんでおくと、逆に価値は下がってしまいます。売れるときに売ってしまいましょう。
おわりに
今回は、遺品となった衣類を処分する方法についてご説明しました。
まとめると
- 衣類はどんなに丁寧に保管しておいても劣化する。
- 愛用の衣類は故人に着せて送ってあげてもよい。
- 引き取り手のない衣類は早めに処分する。
- 高価な衣類は専門の店に売却するとよい。
ということです。美しい着物などは、処分するのをためらう人が多いでしょう。しかし、1枚くらいならともかく何十枚もの着ない衣類を取っておくわけにはいきません。着物は古着として利用されるだけでなく、はぎれになって小間物などに利用されることもあります。いつまでもタンスの肥やしにしておくよりは、その方が着物にとってもよいでしょう。
振り袖や留め袖などは中古でも需要が高く、値段がつきやすいです。ウールや木綿の普段着はフリーマーケットで安価で売ってしまってもよいでしょう。